







CANCAN
街角に面した、2.5坪の小さな店舗である。 クライアントからの依頼は、営業しているビールスタンドに隣接した2.5坪程度の区画に新たな業態として、オリジナルのクラフトビール缶で販売する店舗であった。また、ビールの販売だけでなく、缶のパッケージの開発、雑貨を缶を詰め込む作業の他、イベントへの出店や什器の貸し出しのように、缶にまつわる様々な実験や場所を変えて営業できる店舗づくりが求められた。 このプロジェクトでは小さな店舗であるからこそ、可動性や拡張性を事前に仕込んでおき、一般的な店舗という機能だけでなく、プロダクトの可能性を検証し続けるための実験室として、その作業性を設計している。 外観は隣接する姉妹店と一体感をつくりながら、出入口は透明な暖簾とすることで、光と視線が通り抜け、内部の様子がまちとの接点をもつ店構えとした。既存図面に記載されていた窓はこれまでのテナント工事によって塞がれていたため、窓を復活させ、多方向から見通しのきく当初の姿に戻した。 中に入ると、小さな空間に、缶と同素材の什器が高密度に配置され、光を反射するアルミの質感が空間全体に広がり、素材特有の軽さと冷たさが感じられる環境をつくり出す。什器は移動・分解・再構成が可能なユニット構造とすることで、様々な場所へと持ち出し、形を変えながら展開できる可搬性を確保した。什器の躯体は市販のアルミフレームをつかって構成、クライアント自らが解体と組立ができるディティールとし、部材の追加にもフレキシブルに対応できるようにした。 この小さな店舗そのものが、まちとつながり、まちを巡りながら、缶という小さなパッケージの可能性を試し続ける「缶の実験室」として機能することを目指している。
所在地:宮城県
用途:物販店舗
面積:30㎡
竣工:2025
クライアント:立呑み ベロン
施工:石野建設
グラフィックデザイン:黒森健一
写真:後藤充裕